NutaNice Xperience

主にNutanix製品を検証したり触ったりした結果をつづっています。※このブログの内容は個人の見識や見解をもとに作成しています。参考にされる場合は自己責任でご活用ください。実際に製品を使用される場合は、メーカードキュメントの手順に従い実施してください。

Flow Virtual NetworkingのオーバーレイネットワークをVyOSでアンダーレイのネットワークにL2延伸してみる 【AOS 7.0 AHV 10.0/pc.2024.3】

 ※この記事は「AOS 7.0 AHV10.0 Prism Central pc.2024.3」時点の情報をもとに作成しています。その後の機能アップデートについてはメーカーの公開情報をご確認ください。

NutanixのFlow Virtual Networkingの連載については以下の記事にリンクをまとめています。ほかの記事にもこちらからアクセス可能です。tomomartin.hateblo.jp

以前の記事で、FVNのネイティブ機能のvTEPゲートウェイを使用して、VPC間でL2延伸(subnet extension)をしてみました。今回は、FVNのvTEPとVyOSのvTEPを接続して、VPCのオーバーレイとスイッチ側のアンダーレイネットワークをL2延伸してみます。

目次

1.今回の環境

 AOS: 7.0.1
AHV: 10.0.1
Prism Central: pc.2024.3.1.1
VyOS: 2025.06.01-0024-rolling

▽今回のL2延伸の利用イメージは以下の通りです。NutanixクラスターにFVNで作成したVPCのオーバーレイネットワークを、別のサイトや別の環境の同じネットワークにL2延伸します。

これはオンプレミス間もそうですが、例えばハイブリッドクラウド環境で、オンプレミスのスイッチで管理される特定のネットワークを、パブリッククラウド上のNutanixのVPCのオーバーレイネットワークとしてL2延伸したい場合などで使用できそうです。

▽ただし、複数サイト間のVPNなどは準備が大変なので、今回は以下のようなそれっぽい環境で再現してみます

なお、今回はvTEP部分の解説となりますので、VPC環境の構築については、これまでの記事をご参照ください。

2. vTEPゲートウェイの作成

▽Nutanix VPC側のNAT(Floating IP)で使用するvTEPゲートウェイの作成方法については、以下の記事をご参照ください。

tomomartin.hateblo.jp

▽VyOS側のvTEPの設定は以下の通りです。VxLAN用のインターフェース(vxlan0)やブリッジ(br0)を作成して、L2延伸するローカルネットワークのインターフェース(eth1)と接続したり、リモートのvTEPエンドポイントのIP(Floating IP)を設定したりしています。(上のイメージ図参照)

なお、eth0のMTUを1550としているのは、VxLANのオーバーヘッド分を上乗せしないと、VyOSがインターフェースの設定を受け付けてくれなかったためです。このあたり製品にもよりますが、個別の調整が必要となりそうですね。

vyos@vyos:~$ show configuration
interfaces {
    bridge br0 {
        address 10.10.5.1/24
        member {
            interface eth1 {
            }
            interface vxlan0 {
            }
        }
    }
    ethernet eth0 {
        address 172.22.8.5/24
        mtu 1550
    }
    ethernet eth1 {
    }
    loopback lo {
    }
    vxlan vxlan0 {
        remote 172.22.7.26
        source-interface eth0
        vni 5
    }
}
protocols {
    static {
        route 0.0.0.0/0 {
            next-hop 172.22.8.1 {
            }
        }
    }
}
vyos@vyos:~$

▽作成したVyOSのvTEPエンドポイントを、リモートvTEPゲートウェイとして、VPC側に登録します。

ちなみに、作成済みのVPC側のvTEPゲートウェイも赤枠の上に表示されていますね。

3. L2延伸の作成

▽今回は、Nutanix vTEPとVyOS vTEPのVxLANとなりますので、「To A Third Party Data Center」を選択します。

▽以下、VxLAN(L2延伸)の設定内容です。「Local IP」は、VPC側のvTEPゲートウェイがL2延伸するオーバーレイネットワークに持つIPアドレスです。VNIの値などもそろえておきます。

これで設定に問題がなければ、L2延伸の作成が完了です。

4. 設定後の確認

▽作成されたL2延伸は以下の通りです。「Connection Status」はサードパーティ製品だからか、どうも確認できないようですね。

▽ただし双方のネットワークに接続しているサーバ間では疎通確認が取れました。また、arpテーブルにも載ってきていますね。

▽また、Prism CentralのVPC側の画面でもarpテーブルが確認でき、L2延伸先にあるMACアドレスに対して、対向のvTEPのIPアドレスを指しています。

今回はここまで。