※この記事は「AOS 6.8」および「Prism Central pc.2024.1」時点の情報をもとに作成しています。その後の機能アップデートについてはメーカーの公開情報をご確認ください。
Prism Centralバージョン「pc.2023.3」にて、Cross Cluster Live Migration(以降CCLM)がサポートされました。この機能を使用すると、異なるAHVクラスター間で仮想マシンを無停止で移行できます。今回はこの機能を使用してみます。
目次
1. 今回の環境
クラスターA: HPE DX360 Gen10 Plus(3ノード)
クラスターB: NX-1465-G5(4ノード)
AOS: 6.8.0.5(共通)
AHV: 20230302.100187
Prism Central: pc.2024.1.0.1
移行用VM: Windows Server 2019
今回は1つのPrism Central配下に登録している2つのAHVクラスター間でのライブマイグレーションとなります(同一AZ内)。
ちなみに、異なるPrism Centralにて管理されているAHVクラスター間でも、ライブマイグレーションは可能です。
2. CCLMの主な要件
CCLMではライブで仮想マシンを移行する関係上、いろいろと要件がありますので、主なものを紹介します。
- クラスター間の往復遅延を40ミリ秒以下にすることが推奨
- AOS 6.7以降 かつ pc.2023.3以降で使用可能
- 送信元と宛先サブネットで同じIPネットワークプレフィックスが必要
- クラスター間で同じAHVバージョンを実行していること
- クラスター間で同じ名前のストレージコンテナがあること
また、CPU世代が新しいクラスターから、古い世代のクラスターへライブマイグレーションする場合は、仮想マシン単位でのCPU互換性機能を使用して、古いクラスターがサポートしているCPU世代を仮想マシンに割り当てるといった調整が必要となります。
Advanced Processor Compatibility in AHV
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=AHV-Admin-Guide:ahv-advanced-processor-compatibility-c.html
その他、細かい要件についてはリンク先をご確認ください。
On-Demand Cross-Cluster Live Migration (OD-CCLM) Requirements
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Prism-Central-Guide-vpc_2024_2:mul-cluster-cclm-requirements-r.html
3. CCLMの実行
今回は古いCPU世代のクラスターから新しいCPU世代のクラスターへのライブマイグレーションを試してみます。今回の環境では、クラスターB→クラスターAへのライブマイグレーションとなります。
▽はじめに移行元となるクラスターBに仮想マシンを作成し、NICの情報を確認しておきます。
▽Prism Centralにログインし、対象の仮想マシンを選択して「Migrate Across Clusters」をクリックします。
▽同じPrism Central配下のクラスターAに移行しますので、はじめにDestinationで「Local AZ」および、クラスターAとなる「ntnx01」を選択します。
▽続いてネットワークのマッピングを実施します。今回は、同一VLAN間での移行となります。
▽事前の互換性チェックなどが実行され、問題がなければ以下のように表示されます。移行対象の仮想マシンを選択して「Migrate」をクリックします。
Performing On-Demand CCLM
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Prism-Central-Guide-vpc_2024_2:mul-cluster-cclm-migrate-pc-t.html
▽ライブマイグレーションであることを確認するために、移行中のVMにping疎通確認を実施し、またVMにログインしてブラウザでYouTube動画の再生を試してみましたが、特に停止することなく応答および動作している様子でした。
▽移行完了後に、Prism Centralの仮想マシン一覧を表示すると、対象の仮想マシンが移行先となる「ntnx01(クラスターA)」上で起動していることが確認できます。
▽移行先クラスターAのPrism Elementでも、移行された仮想マシンが表示されます。また、仮想マシンのvNICの情報から、MACアドレスやIPアドレスも引き継がれていることが確認できます。
4. CCLMにおけるクラスタ間レプリケーションについて
▽CCLMのライブマイグレーションを実行すると、内部的にはNutanix Disaster Recoveryの機能で対象仮想マシンのリカバリーポイント(スナップショット)が作成されていることが確認できます。
▽このリカバリーポイントが複数作成およびレプリケーションされ、クラスター間で保持されていることが確認できます。
5. まとめ
今回は、Prism Centralを用いたAHVクラスター間のVMライブマイグレーションを試してみました。この記事の情報が役に立てば幸いです。