以前の記事では、Nutanix Filesの分析機能である「File Analytics」を利用するため、File Analytics VM(FAVM)をデプロイをしてみました。今回は、FAVMをスケールアップできるか試してみます。
※File Analyticsのメーカードキュメントでは、FAVMのスケールアップについては記述されていないため、今回紹介している内容は実際の環境では実施しないことをおすすめします。
今回の環境
AOS 6.0 STS
Hypervisor: AHV 20201105.2076
Files version: 3.8.1
File Analytics version: 3.0.0
FAVM size: Small(vCPU:8, memory:24, storage:2TiB)
File Analytics VM(FAVM)のリソースサイズ
FAVMは通常、デプロイ時にリソースサイズを選択することができ、ファイルサーバーのファイル数に応じて「Small」か「Large」を選びます。
今回は「Small」サイズのFAVMを「Large」サイズへスケールアップしてみたいと思います。
FAVMのメモリの追加
今回はAHV環境のため、AHVの仮想マシン管理のドキュメントを参考にして、FAVMにメモリをホットアドしてみます。CPUについては、SmallとLargeで値が同じであるため対象外とします。
メモリをホットアドする前に、FAVMのOSバージョンがAHVのホットアドでサポートされているかを調べてみました。FAVMの実体はCentOS 7.7であり、今回の環境であるAOS 6.0でもサポートされていることがNutanixのサポートマトリクスで確認できます。
AHV上の仮想マシンへのメモリ追加は、Prismからでも操作可能ですが、今回はAHVで使える「aCLI」というCLIツールを使用してみます。任意のCVMへログインして、以下コマンドを実行します。
コマンド実行後は、PrismでもFAVMのメモリサイズがLargeである「48GiB」になっているのが確認できます。
ちなみに、Linuxカーネルがホットアドされたメモリを自動的にオンラインにしない場合があるようなので、一応FAVMのメモリブロックの状態を確認してみます。
FAVMへSSHログインして、以下コマンドを実行してみます。
[nutanix@cvm]$ grep line /sys/devices/system/memory/memory*/state
今回の環境では、メモリ区画が384ブロックあるのですべての行をお見せすることはできませんが、以下のようにすべてオンラインであることが確認できました。
FAVMのストレージサイズについて
先述のとおり、FAVMデプロイ時にストレージサイズとしては「2TiB(Small)」か「4TiB(Large)」が選択できます。
このストレージサイズは、FAVM自体のvDISKの容量ではなく、Nutanix Volumesによって作成されたシンプロビジョニングのボリュームグループのサイズの事です。このボリュームグループをFAVMがiSCSIで/mntへマウントし、File Analyticsのデータ保管場所として使用する仕組みのようです。
実際に、FAVMデプロイの記事でお見せしたタスク画面でも、FAVMデプロイ時に自動でボリュームグループが作成されていました。
つまり、FAVMのストレージを「Small」→「Large」へ変更するには、FAVMがマウントしているボリュームグループのサイズを拡張すればいいわけです。
FAVMのボリュームグループのスケールアップ
ボリュームグループの容量拡張は、Prismの「ストレージ」画面から操作可能です。File Analytics用に作成されている「File_Analytics_VG」の編集画面で下図のように操作して4TiBへ変更します。
Nutanix HCI側では、すぐにボリュームグループの容量拡張が反映されますが、マウントしているLinuxとしてのFAVM側では、「fdisk」や「resize2fs」コマンドなどを使用して、拡張した分の領域をリサイズする必要があります。
まとめ
今回は、File Analytics VM(FAVM)のメモリとストレージのスケールアップを試してみました。
今回お見せしたように、技術的には拡張可能(例えばSmall → Mediumなども作れる)ですが、Nutanixのドキュメントで手順が紹介されているわけではないので、勝手に標準構成を変更してしまうとサポートを受けられなくなる可能性があります。
そのため、あとでFAVMをスケールアップすることは考えずに、FAVMをデプロイする時点でリソースサイズを「Small」か「Large」で決めてしまったほうがよいかと思います。
以上、参考までに。