NutaNice Xperience

主にNutanix製品を検証したり触ったりした結果をつづっています。※このブログの内容は個人の見識や見解をもとに作成しています。参考にされる場合は自己責任でご活用ください。実際に製品を使用される場合は、メーカードキュメントの手順に従い実施してください。

HYCUのバックアップポリシーにおける「Backup From Replica」とは【Nutanix AHV】

※このブログの内容は個人の見識や見解をもとに作成しています。参考にされる場合は自己責任でご活用ください。また、このブログで紹介している製品や機能を実際に使用される場合は、メーカードキュメントの手順に従い実施することを推奨します。

前回の記事で、Nutanix AHVにおけるHYCUの「コピー」について紹介しました。今回は「Backup From Replica」について紹介します。

HYCUでは以下のように「Backup From Replica」というバックアップオプションが提供されています。

このオプションは、メーカードキュメントでは以下のように紹介されています。

<Backup from replica>
Nutanixクラスターにのみ使用できます。リモートオフィス/ブランチオフィス( ROBO) 環境のレプリカから仮想マシンおよびボリュームグループをバックアップできます。
<引用元>
HYCUユーザーガイド > カスタムポリシーの作成
https://download.hycu.com/ec/v4.7.1/help/ja/HYCU_UserGuide.pdf#page=60

[BACKUP FROM REPLICA]
Nutanix 保護ドメインを活用し、Nutanix リモートクラスタ上のVM からバックアップをする場合、ローカルにレプリケートされたレプリカからバックアップを実行します。 
<引用元>
HYCU 簡易手順書 > ポリシー設定
https://download.hycu.com/docs/misc/downloadarea/HYCU/release/4.8.0/JPN/Evaluation_guide_for_vm_v4.8.0.pdf#page=35

これをはじめに読んだときに、リモートのVMからのバックアップってどういう意味?と思ったのですが、色々調べてみたところ以下のように理解しました。

つまり、プライマリサイトでもリモート拠点でも表現は何でもよいが、Nutanixの本番環境のクラスターから、Async DRで別のNutanixクラスターへレプリケーションされてきた仮想マシンなどのスナップショットを用いて別のターゲットにさらにバックアップを取得するということです。レプリケーションされてきたレプリカからバックアップを取得するので、Backup From Replicaと呼ばれるのですね。この場合、HYCU Backup Controllerはレプリケーション先のクラスター上に存在することになります。

NutanixのAsync DRではレプリケーション先のクラスターの事をリモートサイトと呼ぶ傾向があるので、レプリケーション元の環境をHYCUでリモート拠点と表現されてしまうと、少し混乱してしまう方もいらっしゃるのではないかと思います。

ちなみにこの機能ですが、HYCUの管理下でプライマリサイトでもリモートサイトでも自由なところに仮想マシンをリストアできるといった特長もあります。

HYCUがリモート拠点やROBO環境からのバックアップと呼んでいることからも、この機能は複数拠点からのレプリケーションを想定している機能であるとも考えられそうです。

例えば以下のようなイメージです。

このように、複数拠点からレプリケーションされたスナップショットを一か所に集約し、HYCUでさらに外部バックアップを取りつつ、DRリストアも管理するといったような、HYCUによるバックアップDRの統合管理的な側面をもった機能としても使えそうですね。これはあくまで筆者の見解ではありますが、いづれにせよ少し規模大きめの環境に適用できそうな気がしました。

以上、今回はBackup From Replicaの紹介でした。

次回は「アーカイブ」について書いてみたいと思います。

HYCUのバックアップポリシーにおける「コピー」とは【Nutanix AHV】

※このブログの内容は個人の見識や見解をもとに作成しています。参考にされる場合は自己責任でご活用ください。また、このブログで紹介している製品や機能を実際に使用される場合は、メーカードキュメントの手順に従い実施することを推奨します。

以前の記事で、Nutanix AHVにおけるHYCUの「FAST RESTORE」について紹介しました。今回は「コピー」について紹介します。

HYCUでは以下のように「コピー」というバックアップオプションが提供されています。

大体想像がつくかもしれませんが、このコピーというオプションは1次バックアップ先から、さらに別のターゲットとなるファイルサーバーなどにバックアップデータをコピー転送できる機能です。

▽実際に設定する際は、HYCUのBackup Controllerに最低2つのターゲットを登録します。

▽そしてポリシー画面にて、コピー先を指定するイメージです。

仮想マシンにポリシーを割り当てて、ポリシーが実行されると、復旧ポイントやジョブレポートからコピーが実行されていることが分かります。

今回はこの辺で。

次回: HYCUのバックアップポリシーにおける「Backup From Replica」とは

HYCUでこってりマシマシオプション全部乗せポリシー弁当はいかがでしょうか?

こちらは2023.08.23に開催したNutanix Meetupの資料です。Nutanix AHVでのHYCUのオプションについて紹介していますので、ご参考にしていただければ幸いです。

speakerdeck.com

ちなみにオプションマシマシ設定で5次バックアップまでいけました!

また次回。

HYCU Backup Controllerのバックアップ・リストア方法② ~復旧用 HYCU BC 編~ 【Nutanix AHV】

※このブログの内容は個人の見識や見解をもとに作成しています。参考にされる場合は自己責任でご活用ください。また、このブログで紹介している製品や機能を実際に使用される場合は、メーカードキュメントの手順に従い実施することを推奨します。

この記事は以下の通り連載です。
HYCU Backup Controller自身の保護について
HYCU Backup Controllerのバックアップ・リストア方法①
HYCU Backup Controllerのバックアップ・リストア方法②

目次

はじめに

前回の記事では、Nutanixのプロテクションドメインを使用したHYCU Backup Controllerのスナップショット・リストアについて紹介しました。今回は、復旧用のHYCU Backup Controllerを使用した、HYCU Backup Controllerのリストア方法について紹介します。

※HYCUのドキュメントでは本記事の手順が詳しく紹介されていますので、実際に運用される場合は、前回記事の手順よりも本記事の手順を優先されることを推奨します。

1. 今回の環境

ソースクラスター: Nutanix AOS 6.5.3.5 LTS AHV 20220304.420
HYCU Version: 4.8.0-3273
外部保管用のファイルサーバー: Windows Server 2019

AHV上に作成したHYCU Backup Controllerのコンソールを使用して、以下のようにAHV VMのバックアップを外部に取得しているといった環境を想定します。

2. HYCUのポリシーでHYCU自身の外部バックアップを取得

HYCUで作成したバックアップポリシーは、Backup Controller自身にも配布することができます。今回はHYCU自身のバックアップを外部のファイルサーバーに保存します。

今回は外部保管用のファイルサーバーとして、あらかじめ作成済みのWindows Server 2019の共有フォルダをBackup Controllerからターゲットとして設定済みです。

▽はじめにHYCUコンソールの「ポリシー画面」にて、新しいポリシーを作成します。今回は、毎時バックアップ24時間保存のスケジュールにて、外部のファイルサーバーをターゲットとして保存するポリシーを作成しました。

▽作成したポリシーを仮想マシン一覧からHYCU Backup Controllerに割り当てます。

▽ポリシーを配布すると、スケジュールに従って自動でバックアップが実行されます。取得されたバックアップは以下の通りです。

3. HYCU Backup Controllerで障害を発生させる

ここからはHYCUに疑似障害を発生させます。今回は、HYCU Backup Controllerの仮想マシンを強制停止し、vDISKを削除してデータが消失した状態を作ります。以下のようなイメージです。

▽Prismの仮想マシン画面から、Backup Controllerを強制パワーオフします。

▽HYCUが停止したら仮想マシンの編集にてvDISKを削除します。

▽vDISKを削除したのでストレージ容量も0となりました。

4. 復旧用のBackup Controllerを作成しAHV環境を登録

障害が発生したHYCU Backup Controllerを復旧するために、新しいBackup Controllerを一時的に作成します。クラスター自体に障害が発生している場合は、クラスターを復旧させてから作業を実施してください。(※今回はAHVでの操作)

▽はじめにAHVのイメージサービスに登録したHYCUの仮想マシンイメージから新しくBackup Controllerをデプロイします。割り当てるネットワークやDNSなどは環境に応じて適切な値を設定します。以下は、新規作成済みの復旧用Backup Controllerです。

※HYCUのデプロイ方法は以下記事をご参照ください。
HYCUでNutanix AHVのVMをバックアップ Part.1(HYCU Backup Controller の導入)

▽復旧用Backup Controllerにブラウザからログインし、対象となるAHVクラスターをソースとして登録しておきます。

※ソースの登録方法は以下記事をご参照ください。
HYCUでNutanix AHVのVMをバックアップ Part.2(バックアップソースの追加)

5. 復旧用Backup Controllerに外部バックアップをインポート

続いて、復旧用Backup Controllerのコンソールから、ターゲットのインポートを実施して、外部バックアップにアクセスできるようにします。

▽HYCUのコンソール「ターゲット画面」より「インポート」から外部バックアップ保管先の情報を入力してインポートします。今回は、Windows Serverの共有フォルダを保管先として使用しています。

▽次の画面で、障害が発生したBackup Controllerで設定していたターゲット名を選択して、インポートを実行します。

インポートしたターゲットは読み取り専用となり、復旧用Backup Controllerは復旧モードに切り替わります。このモードでは、仮想マシンやBackup Controllerを復元することはできますが、ターゲットへのバックアップ処理は実行できません。

6. HYCU Backup Controllerのリストア

インポートしたターゲットの外部バックアップから、元のBackup Controllerをリストアします。

▽復旧用Backup Controllerのコンソールにて、仮想マシン一覧から元のBackup Controllerを選択し、最新の復元ポイントから「VMの復元」をクリックします。

▽「VMの復元」を選択して「次へ」をクリックします。

▽リストア先のストレージコンテナやリストア元のバックアップの選択、その他仮想マシンのリソースやネットワークの設定をして「次へ」をクリックします。

▽復元の完了は「ジョブ画面」や「イベント画面」で確認できます。

▽NutanixのPrismでも、リストアされた元のBackup Controllerが起動していることが分かります。

復元が完了したら、復旧用のBackup Controllerのコンソールからはログアウトし、仮想マシンも停止しておきます。(最終的に不要になったら削除でOK)

7. 復元したBackup Contorollerにてアクティビティの再開

▽Backup Controllerのリストア後は、元々のポリシーで設定している仮想マシンバックアップなどのアクティビティが勝手に実行されないように一時停止されています。

▽アクティビティを再開するには「電源オプション画面」を起動して「再開」を選択後「Save」をクリックします。

▽アクティビティ再開後には、元々のバックアップポリシー通りにバックアップジョブが再開されます。

おわりに

今回は、復旧用のHYCU Backup Controllerを使用した、HYCU Backup Controllerのバックアップ・リストア方法について紹介しました。この方法では、プライマリクラスターの災害などでデータが破損してしまった場合でも、外部バックアップからBackup Controllerをリストアできます。HYCUの保護方法としてご参考にしていただければ幸いです。

次回も何かHYCUについて書きたいと思います。

HYCU Backup Controllerのバックアップ・リストア方法① ~Nutanix スナップショット編~ 【Nutanix AHV】

※このブログの内容は個人の見識や見解をもとに作成しています。参考にされる場合は自己責任でご活用ください。また、このブログで紹介している製品や機能を実際に使用される場合は、メーカードキュメントの手順に従い実施することを推奨します。

この記事は以下の通り連載です。
HYCU Backup Controller自身の保護について
HYCU Backup Controllerのバックアップ・リストア方法①
HYCU Backup Controllerのバックアップ・リストア方法②

目次

はじめに

前回の記事では、HYCU Backup Controllerのバックアップ・リストアについて紹介しました。今回は、前回の記事の中で紹介した、Nutanixのプロテクションドメインを使用したBackup Controllerのリストアについて紹介します。

1. 今回の環境

ソースクラスター: Nutanix AOS 6.5.3.5 LTS AHV 20220304.420
HYCU Version: 4.8.0-3273

AHV上に作成したHYCU Backup Controllerのコンソールを使用して、以下のようにAHV VMのバックアップを外部に取得しているといった環境を想定します。

2. Nutanixのプロテクションドメインでローカルバックアップを取得

Nutanixでは「Async DR」というネイティブのバックアップ・DR機能が提供されています。Async DRではプロテクションドメイン(Protection Domain)と呼ばれる保護グループを作成し、クラスター上の保護したい仮想マシンやボリュームグループを追加します。その後、作成したプロテクションドメインにスナップショットやレプリケーションのスケジュールを適用するイメージとなります。

▽今回はNutanixクラスターのPrism Element Webコンソールから、HYCU Backup Controllerを追加したプロテクションドメインを作成しました。(※ HYCUインスタンスについては割愛)

▽また、このプロテクションドメインには、日次バックアップでローカルに3世代スナップショットを保管するスケジュールを設定しています。

▽このプロテクションドメインで以下のようにスナップショットを取得しておきます。

3. HYCU Backup Controllerで障害を発生させる

ここからはHYCUに疑似障害を発生させます。今回は、HYCU Backup Controllerの仮想マシンを強制停止し、vDISKを削除してデータが消失した状態を作ります。以下のようなイメージです。

▽Prismの仮想マシン画面から、Backup Controllerを強制パワーオフします。

▽HYCUが停止したら仮想マシンの編集にてvDISKを削除します。

▽vDISKを削除したのでストレージ容量も0となりました。

4. プロテクションドメインのスナップショットからリストア

Nutanixのプロテクションドメインで取得済みのローカルスナップショットから、HYCU Backup Controllerをリストアしてみます。

▽Prismの「データ保護」画面にて、ローカルスナップショットを選択し「Restore」をクリックします。

▽復旧する仮想マシン(hycu-bc)を選択し「既存のエンティティを上書き」を選択して「OK」をクリックします。「既存を上書き」の場合、静的IPをそのまま引き継いでリストアすることが可能です。

▽リストアされた仮想マシンを右クリック→「Power on」で起動します。

仮想マシン起動後はIPアドレスも引き継がれていることが分かります。

 ※VM起動後は10分程度待機します。

▽リストアしたHYCU Backup Controllerのコンソールへログインすると、障害前のようにHYCUのバックアップ環境が利用できます。

おわりに

今回はNutanixのプロテクションドメインを使用したHYCU Backup Controllerのスナップショット・リストア方法を紹介しました。この方法はNutanixのローカルスナップショットからのリストアとなりますが、もちろん外部にBackup Controllerのバックアップを取得してリストアすることも可能です。

次回の記事では、HYCU自身の手順でBackup Controllerを外部バックアップからリストアする方法をお見せしたいと思います。

HYCU Backup Controller自身の保護について 【Nutanix AHV】

※このブログの内容は個人の見識や見解をもとに作成しています。参考にされる場合は自己責任でご活用ください。また、このブログで紹介している製品や機能を実際に使用される場合は、メーカードキュメントの手順に従い実施することを推奨します。

この記事は以下の通り連載です。
HYCU Backup Controller自身の保護について
HYCU Backup Controllerのバックアップ・リストア方法①
HYCU Backup Controllerのバックアップ・リストア方法②

目次

はじめに

この記事ではバックアップソフト「HYCU」におけるHYCU Backup Controller自身のバックアップ・リストアについて紹介します。今回は、Nutanix AHVクラスター上にHYCU Backup Controller VMを展開して、仮想マシンのバックアップを外部のファイルサーバーに保管するというシンプルな構成図で解説します。

HYCUでは上図のように、バックアップソースとなるクラスター上にBackup Controllerを作成し、外部の保管先ターゲットにバックアップデータを転送して保存するという構成が一般的です。

この場合、Backup Controllerやクラスターに障害が発生すると、どのように復旧させるのか気になる方もいるかと思います。今回は次のようなケースを例に解説します。

HYCU Backup Controllerの障害ケース

HYCU Backup Controllerが単体で障害発生

HYCU Backup Controller が単体で故障した場合は、すべてのバックアップジョブやリストア操作が実行不可になります。この場合、Backup Controllerを復旧して元の状態に戻す必要があります。

クラスター全体で障害発生

プライマリクラスター全体の障害では、場合によってはローカルストレージのデータ破損もあるかもしれません。この場合は、プライマリクラスターを復旧させてから、仮想マシンやHYCUのバックアップ環境を元に戻す必要があります。

これら障害からHYCU環境を回復する方法ですが、次の2つを紹介します

HYCUバックアップ環境を復元する方法

方法①Nutanixのプロテクションドメインスナップショットからリストア

この方法では、Nutanixのネイティブ機能であるプロテクションドメイン(Async DR)のローカルスナップショットからリストアします。ただしこの方法は、プライマリクラスターのローカルスナップショットにデータ破損がないことが前提となります。HYCUでは、このあと紹介する②のように、独自の復元方法も提供されていますが、Nutanixのスナップショットも組み合わせて保護することが推奨されています。

<参考ドキュメント>
さらに安全性を高めるために、HYCU Backup Controllerの保護を、HYCU Backup Controllerをホストするソースの保護と組み合わせることをお勧めします。たとえば、Nutanix保護ドメインまたはVMware vSphereデータ保護を使用できます。詳細については、NutanixまたはVMwareの資料を参照してください。 

<引用元>
HYCUユーザーガイド>>災害復旧の準備
https://download.hycu.com/ec/v4.7.1/help/ja/HYCU_UserGuide.pdf#page=74

方法②復旧用のBackup Controllerを一時的に作成してリストア

こちらはHYCUのドキュメントで手順が紹介されている方法です。この方法では、復旧用のHYCU Backup Controllerを作成して、外部バックアップにアクセスし、元のBackup Controllerを復元します。事前にHYCUのポリシーをBackup Controller VM自身に割り当てて、外部にバックアップを取得しておく必要があります。外部にバックアップがありますので、プライマリクラスターにデータ破損があってもリストア可能です。

ちなみに障害が発生したプライマリクラスターで稼働していた仮想マシンやボリュームグループなどのデータが失われてしまった場合は、復旧用のBackup Controllerを使用して、外部バックアップからリストアすることも可能です。

このように、HYCUのBackup Controllerは、NutanixのプロテクションドメインやHYCU独自のバックアップ・リストア機能を使用して復元することができます。

次回の記事では、Nutanixのプロテクションドメインを使用したBackup Controllerの復元についてお見せしたいと思います。

<参考>
HYCUユーザーガイド > 災害復旧の準備
https://download.hycu.com/ec/v4.7.1/help/ja/HYCU_UserGuide.pdf#page=74

HYCUユーザーガイド > 第8章 データ保護環境の復元
https://download.hycu.com/ec/v4.7.1/help/ja/HYCU_UserGuide.pdf#page=151

HYCUのバックアップポリシーにおける「FAST RESTORE」とは【Nutanix AHV】

以前の記事で、Nutanix AHVにおけるHYCUのスナップショット保管先の違いによるバックアップの持ち方について紹介しました。今回は、HYCUにおける「FAST RESTORE」について紹介します。

HYCUでは以下のように「ファスト リストア(FAST RESTORE)」というバックアップオプションが提供されています。

HYCUのドキュメントを確認すると、以下のように説明されています。

[Fast Restore]

Nutanixクラスターにのみ使用できます。高速復元ができるNutanixクラスターに複数のスナップショットを保持するには、「Fast restore」セクションで、スナップショットの保持期間( 月、週、日、時間、または分) を設定します。たとえば、RPOを2日間に設定し、スナップショット保持期間を4日間に設定すると、Nutanixクラスターで2つのスナップショットを使用できます。 

引用元:「HYCUユーザーガイド」カスタムポリシーの作成
https://download.hycu.com/ec/v4.7.1/help/ja/HYCU_UserGuide.pdf

 

[FAST RESTORE]

スナップショットの保持期間を指定します。複数世代のスナップショットを保持することで、迅速な復元が必要な場合にはスナップショットから高速復元を実現にします。 

引用元:「HYCU 簡易手順書」ポリシー設定
https://download.hycu.com/docs/misc/downloadarea/HYCU/release/4.8.0/JPN/Evaluation_guide_for_vm_v4.8.0.pdf

初見では理解するのが難しかったのですが、実際にポリシーを設定しバックアップを取得すると意味が分かりました。

「FAST RESTORE」オプションを有効にした場合と有効にしなかった場合では、取得されたバックアップに以下のような違いがあります。

つまり「FAST RESTORE」とは、前回の記事でいうところの「ターゲット」と「スナップショット」の合わせ技ということになるかと思います。「外部バックアップ」+「複数のNutanixスナップショットをローカルに保管」ということです。

スナップショットの保持期間は外部バックアップで設定している保持期間内であれば、別途自由に決めることができ、複数世代保管することによって好きな復旧ポイントに迅速にリストアできます。

「FAST RESTORE」オプションを有効にした場合の全体イメージは以下の通りです。

ちなみに「FAST RESTORE」側のローカルスナップショットに「フル」や「増分」という表現を用いていないのは、Nutanixがそもそもポインターベースの高速スナップショット(一般的には Redirect-on-Write と呼ぶ)を行うため、ローカルストレージコンテナ内においては仮想ディスクを丸ごと複製(フルバックアップ)したり、更新データを追加で複製(増分バックアップ)したりするといった仕組みではないためです。

Redirect-on-Writeについては以下記事を参照ください。
Redirect-on-Writeとは
https://licensecounter.jp/engineer-voice/blog/articles/20220111_redirect-on-write.html

以上、今回はこの辺で。

次回は「BACKUP FROM REPLICA」についてご紹介します。