前回の記事では、Nutanix環境でESXiをesxcliからアップグレードしました。
今回は、vSphere Lifecycle Manager(vLCM)でベースラインを使用してアップグレードしてみたいと思います。
1. 今回の環境
AOS: 5.2.1.1 LTS
vCenter Server: 7.0 U3a build-18778458
ESXi: ESXi 6.7 U3 build-14320388 (アップグレード前)
ESXi: ESXi 7.0 U1 build-16850804 (アップグレード後)
Nutanixでは、ESXiを手動でアップグレードする場合でもサービス無停止(共有ストレージ無停止)で実施することが可能です。その代わり、必ず1台ずつ実施する必要があります。
今回は、細かい互換性の確認等は割愛してアップグレード実施の流れをお見せします。
2. ESXiアップグレード前のNutanix側の操作
まずは、既存のNutanixクラスターが正常であることを確認するために、NCC(Nutanix Cluster Check)を実行します。NCCはPrismの「健全性」画面から実行することが可能です。
NCCではクラスターの正常稼働に関する約300のチェック項目が一斉に実行されますが、NG出た場合はKBなどを参照して対処しておきます。
参考: Nutanix Cluster Check (NCC) 4.4.0 Guide
続いて、任意のCVMへログイン後、以下コマンドを実行してクラスターサービスが起動していることを確認しおきます。
[nutanix@cvm]$ cluster status
実行結果では、Nutanixの各クラスターサービスがノード毎に「UP」と表示されます。
続いて、アップグレード対象ESXi上のCVM以外の仮想マシンを他のノードへ退避し、CVMを以下コマンドでシャットダウンします。
[nutanix@cvm]$ cvm_shutdown -P now
Nutanixクラスターを停止せずに、特定のCVMのみを停止する場合は必ずこのコマンドを使用します。
CVMが停止したら、ESXiアップグレードの準備完了です。
3. vLCM ベースラインでのESXiのアップグレード
はじめに、アップグレード用のベースラインを作成するためにVMware Customer Connectからダウンロードしてきた、ESXiインストーラーISOをvLCMのデポへインポートします。今回は「ESXi 7.0 U1 build-16850804」のISOを使用します。
ダウンロードしたISOを、vLCMにインポートしてベースラインを作成し、ESXiへアップグレードを適用する流れになります。
vLCM ベースラインでのアップグレード方法に関してはこちらの記事をご参照ください。
・ESXiをアップグレードしてみる③ -vSphere Lifecycle Managerベースラインでアップグレード(6.7 U3 → 7.0 U1)
また、VMwareのドキュメントも併せてご参照ください。
・『ホストとクラスタのライフサイクルの管理』について
アップグレードが完了したら、ESXiのメンテナンスモードを解除します。
メンテナンスモードを解除するとCVMが自動で起動してきます。起動したCVMへログインし、以下コマンドを実行してクラスターサービスが正常に稼働していることを確認します。
[nutanix@cvm]$ cluster status
続いてPrismのホームダッシュボードを起動し「データの信頼性の状態」のウィジェットが「OK」と表示されていることを確認します。(ESXiおよびCVM起動直後はしばらく「重要」と表示され、データのリビルド作業が自動で実行されますが、処理が完了すると「OK」となります。)
ここまで確認できたら、次のノードのアップグレードというように順番に繰り返します。これによってNutanixクラスターの共有ストレージを停止させることなくすべてのESXiをアップグレードすることが可能となります。
余談ですが、vLCMの「単一のイメージ」を使用したアップグレードに関しては、イメージの作成時にNutanixの「nfs-vaai-plugin」のVIB(VMware Infrastructure Bundle)がイメージから削除されそうになったりするので、もう少し検証してから(またはvLCMがもう少しアップデートされてから)記事にしたいと思います。
今回は、このへんで。