前回の記事では、ESXi環境のNutanixでクローンを作成した時に、VAAIプラグインによってディスク容量をほぼ消費せずにクローンの作成ができたことをお見せしました。
今回は、Nutanixを導入したESXi環境で、Horizonによるフルクローンデスクトッププールを作成し、ディスク容量が同様に削減できることを確認してみます。
Horizonにてフルクローンを作成すると、通常Gold Imade VMのテンプレートを複製し、OSの共通部分も含めてそれぞれのクローンVMにストレージ領域を割り当てます。
そのため、理論的にはフルクローンVMの台数を増やせば増やすほど、倍数的にストレージ領域を消費していくことになります。もちろん、Horizonのインスタントクローンによるプロビジョニングや、その他ベンダーによる重複排除・圧縮などによってストレージ消費量を抑えることも可能です。
Nutanixでも、ESXi向けの「nfs-vaai-plugin」と呼ばれるプラグインによって、スナップショットやクローン処理をNutanix側にオフロードする機能が提供されています。今回は、Nutanix on ESXiでのHorizonで、フルクローンを作成した場合に、ストレージ容量がどの程度削減されるのかを試してみました。
目次
1. 今回の環境
Platform: NX-1465-G5
AOS: 6.1 STS
ESXi: 7.0.1-16850804
データストア: nfs-datastore(ストレージコンテナ)
Horizon: 2111 8.4.0-19446835
クローン元VM: full-clone-gold-image(Windows10)
クローン先VM: full-clone-test01~20(Windows10)
2. Nutanix on ESXiでHorizonのフルクローンの作成
今回は、Horizon関連コンポーネントやGold Imageの作成方法などは割愛します。
まず、クローン作成前の環境ですが、Gold Image(テンプレート)として作成したVMのストレージ容量は以下の通りです。(NutanixによるNFSデータストアへ配置)
今回は、50GBのvDISKをシンプロビジョニングで作成し、実際の使用容量は13GB程度となります。これは、Prismのストレージコンテナ画面からも確認できます。
続いてHorizon Connection Serverから、フルクローンのデスクトッププールを以下条件で作成してみました。
- 自動デプロイ 専有割り当て フルクローン
- 作成台数 20台
- デプロイ先: NFSデータストア(ストレージコンテナ)
- View Storage Accelerator 無効
フルクローンの場合は、あまり関係ないかもしれませんがストレージアクセラレーターは無効にしておきます。
フルクローンがデプロイされました。
デプロイが完了すると、理論的には「13GB×20台」なので260GB程度のストレージ容量がNFSデータストアにて消費されていることになります。
結果としては以下のようになります。Nutanixによるクローン機能(メタデータ管理によるブロック参照のポインタベースのスナップショット)により、ストレージコンテナ容量をほぼ消費することなく、フルクローンが20台展開できました。
Horizonでも、スナップショット・クローン機能はVAAIによってNutanix側にオフロードされているようですね。
3. VAAIプラグイン無効でフルクローンした場合
比較対象として、Nutanixの提供する「nfs-vaai-plugin」を無効にして、フルクローンを展開してみました。このプラグインはNutanixによるESXiではデフォルトでインストールされているのですが、ホスト毎にVAAIのVIBを削除することで無効化できます。
削除方法はVMwareのドキュメントを参照ください。
ESXiホストから「nfs-vaai-plugin」のVIBを削除した後に、同様の条件でHorizonのフルクローンを作成してみました。結果は以下のようになります。
13GBvDISKを持つGold Imageテンプレートから20台のフルクローンをプロビジョニングしたため、260GB程度ストレージ容量が増加していることが分かります。(13GB+13GB×20台=273GB程度)
このように、NutanixではVAAIプラグインのありなしでストレージ消費量に大きな差があることがわかります。
インスタントクローンについては、そもそもストレージ容量が効率化されるようになっていることもありますが、ストレージアクセラレーターによるキャッシュを無効にしたり、その代替となるNutanixのshadow cloneとの関係、replicaやparentといった共通部分について、なかなかVAAIだけで説明するのも難しいので今回は割愛します。各ホストのparentといった共通部分は効率化されることが期待されます。