NutaNice Xperience

主にNutanix製品を検証したり触ったりした結果をつづっています。※このブログの内容は個人の見識や見解をもとに作成しています。参考にされる場合は自己責任でご活用ください。実際に製品を使用される場合は、メーカードキュメントの手順に従い実施してください。

Nutanix Filesのサイジング -ストレージについて-

ここ連日Nutanix Filesのサイジング特集をしておりますが、今回はFilesのストレージのサイジングについて書いてみます。

1回目:Nutanix Filesのサイジング -SSD要件について-
2回目:Nutanix Filesのサイジング -CVMについて-
3回目:Nutanix Filesのサイジング -FSVMについて-
4回目:Nutanix Filesのサイジング -ストレージについて- ←今回

Nutanix Filesでは、共有ストレージに作成したボリュームグループにFSVMがiSCSI接続してファイルサーバーのストレージ領域として使用します。

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そのため、このストレージ領域にはNutanix HCIがそもそも持つデータの冗長性やバックアップ機能なども適用することが可能です。

今回は、そういったNutanix側の機能も含めて、Filesのストレージのサイジングの一例をお見せできればと思います。

Nutanix Filesにおけるストレージの考え方

Nutanix Filesのストレージをサイジングする場合は、主に下の図のような観点でそれぞれ考えるとよいかと思います。

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今回はNutanix Sizerの値を参考に、10TiBのファイルサーバーを見積もる場合を例にそれぞれ考えてみます。

ファイルサーバーのストレージ領域

こちらは、共有フォルダへアクセスするユーザが実際に使用したい容量となります。そのため、10TiBをそのまま割り当てます。

データ保護(バックアップ)領域

データ保護には、Nutanix Filesの機能で提供されているセルフサービスリストアとNutanix HCIの機能であるプロテクションドメインによるローカルスナップショットがあります。これらの違いはまた別の記事で紹介できればと思います。

セルフサービスリストアについては例えば、1時間ごとに0.05%の変更率で、24世代の差分データを保持する計算で見積もる場合は以下のようになります。

10 TiB × 0.0005 × 24 = 0.12 TiB

 つまり、ここまでの合計で10.12 TiBとなります。

さらに、プロテクションドメインによるローカルスナップショットについては例えば、1日ごとに1.2%の変更率で、7世代の差分バックアップを保持する場合以下のようになります。

10.12 TiB × 0.012 × 7 = 約 0.85TiB 

 つまり、ここまでの合計で10.97 TiBとなります。

データ冗長化の領域

Nutanixでは、ストレージコンテナ単位でデータの冗長係数といったストレージポリシーを割り当てる事が可能です。このデータの冗長係数の事をNutanixでは、レプリケーションファクター(RF)と呼びます。RFでは、2重または3重の複製を選択をすることができますが、一般的には2重コピーであるRF2の環境が多いかと思います。

Nutanix Filesにおいても、ストレージ領域となるFiles用のボリュームグループはストレージコンテナの中に作成されるため、この冗長係数が割り当てられ、データが2重コピーなどで複製されることになります。

ここまでの見積もりでは10.97 TiBで計算しましたが、これが2重コピー(RF2)された場合、以下のようになります。

10.97 TiB × 2 = 約 22 TiB 

 つまり、実質の使用容量(10 TiB)+ データ保護容量(0.97 TiB) + データ冗長化の容量(×2)で物理的には約22TiB必要であることが分かりました。

管理系の領域

Nutanix Filesによるファイルサーバーも管理系のメタデータなどを持っていたりしますので、ちょっと余裕を持たせて+10%くらい多めに見積もるとよいかと思います。

22 TiB × 1.1 = 24.2TiB 

 ざっくりですがこれでサイジングの計算は終わりです。つまり、今回例としてご紹介したデータ保護の変更率で10 TiBのファイルサーバーを作成しようとすると、約24.2 TiBくらいの物理容量をNutanix Files用に見積もっておくとよいということになるかと思います。

ここまで説明したものをスライドにまとめました。セルフサービスリストアはNutanix Sizerの仕様上ファイルサーバー領域として計算されるため、スライドではファイルサーバー容量としてカウントしていますが、結果の値は同じです。

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ワークロードによって追加・更新・削除されるデータ量にも大きく違いが出てきますので、これらはあくまで参考程度にお考え下さい。

圧縮や重複排除について

圧縮については個々の環境に依存するため一概には言えないですが、Nutanix SizerでFilesを見積もる際にはデフォルト値として30%程度の圧縮率が表示されます。既存の環境と比較して参考にしていただければと思います。

なお、重複排除についてはNutanix Filesでは非推奨となっていますので、基本的には使用しないものだとお考えいただくとよいかと思います。

 

これまで計4回にわたって、Nutanix Filesのサイジングについて様々な観点から紹介させていただきました。

実のところ・・・FIles Analytics VMのサイジングについてもご説明する必要がありそう(忘れていた)ですが、また別の機会に考えたいと思います。

今回はこのへんで。

 

実際にサイジングする場合は、Nutanixのドキュメントを確認されることをおすすめします。

[Nutanix Files Sizing Guide]
https://portal.nutanix.com/page/documents/solutions/details?targetId=TN-2066-Nutanix-Files-Sizing-Guide:TN-2066-Nutanix-Files-Sizing-Guide