NCMの各機能の目次はこちら
- レポート機能
- キャパシティプランニング
- リソースの非効率性の検出・適正サイジング
- 非NCI環境におけるESXiのサポート
- ローコード/ノーコード運用のオートメーション
- IT運用のためのSQL Serverモニタリング
- アプリケーション検出
- 機械学習による自己調整
- プライベートクラウド向けコストメータリング
マルチクラウド可視化と最適化 - 予算編成とチャージバック
- セルフサービス(Self-Service)
- セキュリティ コンプライアンス
はじめに
前回の記事では、NCM(Nutanix Cloud Manager)の「予算編成とチャージバック」について紹介しました。
今回ご紹介する機能は「セルフサービス(Self-Service)」です。
NCMライセンスエディションのセルフサービスには以下のようにいくつかの機能が含まれており、これらはNutanixのCalmと呼ばれる製品が提供していますが、個別に説明すると細切れになってしまうため、この記事でまとめて紹介したいと思います。
※この記事は、Prism Centralバージョン「pc.2022.6」および「Calm.3.6.1」でのドキュメントや検証結果をもとに作成しています。その後の機能アップデートなどについては最新のドキュメントをご参照ください。
目次
- はじめに
- 目次
- 1. Prism Self Service とは
- 2. Calmとは
- 3. セルフサービスマーケットプレイス
- 4. IaaS VM(単一VM)ブループリントとアプリ(複数VM)ブループリント
- 5. 高度なオーケストレーションランブック
- 6. ガバナンス(承認とスケジュール)
- 7. おわりに
1. Prism Self Service とは
Prism Central ではPrism Self Serviceという機能が提供されています。Prism Self Serviceでは「プロジェクト(Project)」というテナントのような空間を作成することができ、このプロジェクトにPrism Centralが管理しているNutanixインフラのリソースを割り当てたり、そのリソースを使用してVMをデプロイしたりすることができるディレクトリユーザーを割り当てたりすることができます。ちなみにPrism Self Service はAHVでのみサポートされます。
プロジェクトの管理者は、VMのテンプレートやイメージをカタログアイテムとして登録しておくことで、プロジェクトメンバーはカタログアイテムから特定のVMをプロジェクト内のリソースにデプロイして使用することができます。
ここで覚えておいて欲しいことは、ここまで紹介したPrism Self Serviceの機能はNCMライセンスのセルフサービスの機能ではないということです。
ちょっとややこしいのですが、NCMライセンスエディションのセルフサービスはPrism Centralから有効化して使用することができる「Calm」という製品が提供する機能に該当します。
<参考>
Prism Self Service Administration(pc.2022.6)
2. Calmとは
Prism Centralには、Prism Self Serviceに対して「Calm」というアプリケーションのテンプレートや運用タスクの自動化などを提供する機能があります。Prism Centralバージョン「pc.2022.6」の時点では、Calmを有効化すると、Prism Self Serviceのプロジェクトの中で、さらに多くの追加機能が利用できるイメージです。
Prism Self Serviceでは、AHVクラスターに対してプロジェクトを作成し、カタログアイテムからVMのデプロイをユーザへ許可する、といった機能が提供されていましたが、Calmでは例えば以下のようなことが追加でできるようになります。
- ESXiやAWS、Azureなどのリソースの追加
- VPCオーバーレイサブネットの追加
- ポリシーエンジンによるクォータの管理
- マーケットプレイスの利用
- VMブループリント作成
- ランブックの作成
- ガバナンス機能の提供
CalmによるアプリケーションデプロイのオートメーションなどはDevOpsにもつながるところで使いこなせば便利なものであったりもするのですが、それなりに導入の難易度が高かったりもする製品ですので、今回は詳細の使い方などは割愛しつつ、NCMライセンスエディションで明記されているCalmの各機能をダイジェストで紹介します。
<参考>
Introduction to Calm
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Nutanix-Calm-Admin-Operations-Guide-v3_6_1:nuc-app-mgmt-product-introduction-c.html
3. セルフサービスマーケットプレイス
Calmのセルフサービスマーケットプレイスでは、事前構成済みのブループリント(VMをアプリケーションも含めてテンプレート化したようなもの)などを公開することができる場所で、プロジェクトにアサインされているユーザーがマーケットプレイスから自由にデプロイして使用できるものです。
<参考>
Marketplace in Calm
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Nutanix-Calm-Admin-Operations-Guide-v3_6_1:Marketplace%20in%20Calm
4. IaaS VM(単一VM)ブループリントとアプリ(複数VM)ブループリント
ブループリントとは、あらかじめ定義済みの仮想マシンのテンプレートのようなもので、Clamではアプリケーションも含めてカスタマイズすることができます。単一 VM のブループリントでは、一つの仮想マシンやその上のアプリケーションをテンプレートとして作成しますが、複数 VM ブループリントでは、複数の仮想マシンから構成されるアプリケーションを定義して作成できます。
<参考>
Single-VM Blueprints in Calm
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Nutanix-Calm-Admin-Operations-Guide-v3_6_1:nuc-app-mgmt-singlevm-bp-c.html
Multi-VM Blueprints in Calm
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Nutanix-Calm-Admin-Operations-Guide-v3_6_1:nuc-app-mgmt-multivm-bp-c.html
5. 高度なオーケストレーションランブック
Calmでは、ブループリントとは別にランブックという運用タスクの自動化機能を利用することができます。ランブックでは、スクリプトやループ処理を定義したり、VM の電源 OFF/ON を定義したりすることができます。こちらは作り込めば色々なことができるのですが、Calmに精通している人向けの機能だったりしますので、ランブックを使いこなしている人はNutanix上級者ともいえるかもしれません。正直Calmのブループリントやランブックを詳細に説明できる人は日本に数名しかいないと思います。
<参考>
Runbooks in Calm
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Nutanix-Calm-Admin-Operations-Guide-v3_6_1:Runbooks%20in%20Calm
6. ガバナンス(承認とスケジュール)
Calm のガバナンスでは、アプリケーションの展開要求などに対して承認ポリシーを設定したり、ランブックの実行をスケジュール化したりすることができます。これもCalmの一機能とお考えいただくとよさそうです。
<参考>
Policies in Calm
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Nutanix-Calm-Admin-Operations-Guide-v3_6_1:Policies%20in%20Calm
7. おわりに
今回は、Nutanix のNCMライセンスの「セルフサービス」に該当する機能をまとめて紹介させていただきました。Calmという名前の製品は一瞬消えかけたのですが、Nutanixの今後のポートフォリオにも深く関わってくるようで息を吹き返しているようですので、改めて覚えておくとよいかと思います。
実際にPrism Centralの新バージョンpc.2023.1のリリースに伴ってマーケットプレイスのUIなどが大きく変化してきておりますので今後また情報発信していきたいと思います。
次回: Nutanix Cloud Manager(NCM)の機能紹介⑫ 「セキュリティ コンプライアンス(Security Compliance)」